00)(001)―「短歌」の形式―

00)(001)―「短歌」の形式―
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♪音読モード(00:36)♪
■章00)和歌概説
 「和歌」の中身に入る前に、それを取り巻く外形的・社会的・歴史的事情について、概括論的に書いてみる。歌など読(詠)まぬ日本人でも、この程度の事柄は知らねば人前で恥をかく、という程度の雑学知識として読んでもらえればそれでよい。



♪音読モード(03:41)♪
♪「短歌(たんか)」は全三十一文字(五・七・五・七・七)から成る極めて短い定型詩で、その文字数から「みそひともじ」の異称でも呼ばれる。
♪「短歌」は<五句(五・七・五・七・七)>・<二要素(五・七・五=上の句or本/七・七=下の句or末)>から成る:下の(  )は和泉式部(いづみしきぶ)の歌の例
●発端部(上の句or本) = 五+七+五(全十七文字)
♪第一句(初句)=五(あらざらむ)+第二句=七(このよのはての)+第三句=五(おもひでに
●後続部(下の句or末) = 七+七(全十四文字)
第四句=七(いまひとたびの)+第五句(結句)=七(あふこともがな
♪発端部の十七文字をまとめて「上の句(かみのく)」または「本(もと)」と呼び、後続部の十四文字をまとめて「下の句(しものく)」または「末(すゑ)」と呼ぶ。
♪本と末の二つの要素を別人が作って継ぎ足す掛け合い芸「連歌(れんが)」では、発端十七文字を「発句(ほく・ほっく)」と呼び、後続十四文字を「挙句(あげく)」と呼ぶ。滑稽さ(=俳諧趣味)を持ち味とする場合は特に「俳諧連歌(はいかいれんが)」と呼ばれる。お遊び芸の「連歌」は、本式の「和歌」には含めないのが通例である。

 「連歌」で「上の句&下の句の連携プレイ」がチグハグな結末に至ることに言及する言い回しが「挙げ句の果てに」である・・・例えば、次の如し:
(発句)柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺(by 正岡子規)
(挙句)食当たりして腹も鳴るなり(・・・お粗末!by 之人冗悟)

♪「連歌」の「発句」の十七文字のみを独立させて「挙句」抜きで成立させれば「俳句」、お遊びの色彩が濃ければ「川柳」となる。これらもやはり「和歌」には含めない。
♪五つの句(五七五七七)から成る「短歌」の全体は「一首(いっしゅ)」と呼ばれる。一方、「俳句」の全体(五+七+五=十七文字)は「一句(いっく)」である。

 「首(くび)」とは胴と頭の連結部だから、「本」+「末」=「一首」の「短歌」に含まれるのは「胴」までで、「頭」は含まれぬもののようである。「頭」は理知的思考を司る部分だから、「心」(昔の人の感覚では、胸の奥にあるもの)で感じる感覚的処理が相応しい詩文には「頭」は邪魔、ということかもしれない(ブルース・リー風に言えば、「Don’t THINK, FEE~~L!:考えるな、感じるんだ!」という感じであろうか)。
 いずれにせよ、出だしの五+七+五(「本」)は「下半身」/後に続く七+七(「末」)は「上半身」の感じ(首から上は、なし)で、両者の接合部を「腰(こし)」と呼ぶ。もっとも、この用語(=腰)が意味を持つのは、出だし(=上の句)だけはいかにも立派だったのに後続部(=下の句)がだらしない竜頭蛇尾(「頭」はなく「首」から下だけの和歌にこの言い回しもヘン?)の出来損ない短歌を「腰折れ歌」と呼ぶ場合、ぐらいのものではあるが。

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コメント (1件)

  1. the teacher
    <質疑応答コーナー>
    ・・・各ページ下には、質疑応答用の「コメントを残す」ボックスが用意されています(見本版では無効になっています)。
    ・・・教材をよく読めばわかるような無意味な質問や、当該テーマに無関係な内容の投稿でなければ、誠実&正確な回答が返ってくるはずです。

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