11)(001)―「助詞」の定義と種類―

11)(001)―「助詞」の定義と種類―
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♪音読モード(09:08)♪
 「助詞」は単独では意味をなさず、活用もせず常に一定の語形で他の語や文の下に付き、その上接成分に対し、次の3つのいずれかの形で働く語として、全部で6つの異なる種別へと分化する(複数の種別にまたがる意味を持つ「助詞」も少なくない):
●1)上接語と他の語句との間に、以下のⅠ)Ⅱ)Ⅲ)いずれかの関係付けを行なう:
Ⅰ)「体言A+助詞+体言B」の形で、異なる体言どうしの関係を規定する
=「格助詞」

Ⅱ)「体言+助詞+用言」の形で、体言と用言の関係を規定する
=「格助詞」・「副助詞」・「係助詞」

Ⅲ)「文節A+助詞+文節B」又は「語A+助詞+語B」の形で、異なる文節・語どうしの関係を規定する
=「接続助詞」

●2)「文章+助詞」の形で、その文章内容に関する「希望」・「禁止」・「詠嘆」の意を添える
=「終助詞」

●3)「文節+助詞」又は「文章+助詞」の形で、他の語の下には付くものの、他の語との関わりを持たぬ「感動詞」的な添え物として「詠嘆」の意を添える
=「間投助詞」

 ・・・「単独では意味をなさず、活用もせず常に一定の語形で、他の語の下に付き、上接する語に一定の意味を与える」という点では、「助詞」は「接尾語」に似ている。が、「接尾語」の場合は上接する語と一体化して一語の扱いになるのに対し、「助詞」は上接する語とは別個の文法成文である点が異なる。
 例えば、「悲し<み>」・「悲し<さ>」・「悲し<げ>」では、「み」・「さ」・「げ」は上接する「悲し」と完全に一体化して不可分の成文となっているので、これら「み・さ・げ」は「接尾語」であるが、「悲しき<に>耐えかねて家を出る」「悲しく<ば>家を出よ」を品詞分解する場合、「悲し」と「に」・「ば」の間は文法的に区分される:即ち、これら「に」・「ば」は「助詞」(前者は格助詞/後者は接続助詞)である。
 こうした特性を覚えやすく語呂合わせでまとめるなら、次のようになろう:
《みさげたせつびはいったいがた(見下げた設備は一体型)》
=「み」・「さ」・「げ」等の「接尾語」は、上接する語句と<一体>となり不可分の一語の扱い。

《せつふくけいかくしゅうかんむじょ(切腹計画習慣無情)》
=「接続助詞」・「副助詞」・「係助詞」・「格助詞」・「終助詞」・「間投助詞」の六つが「助詞」。
・・・いきなり無情にもハラキリさせてしまって不吉な感じだが、この「助詞」というやつ、実に、「助動詞」のように体系立てた論理的理解を試みてどうにかなる対象ではない;どうしたって「その意味を棒暗記する」より他に手だてはない ― つまり「情け無いけど、計画学習なんて無理・・・だから、何度も女子、じゃなかった助詞のカタログ眺めるのを習慣にしてしっかり顔と名前と性格が一致するようにしてネ(・・・48人とか五九六三人とかベラボーな大人数の人気者集団たち相手にできるキミならダイジョブdiejob?大仕事?、きっと覚えられるってば)・・・でないと落第、切腹だよーん」という(教師的にも学生的にも)とっても困ったテーマなのである。

 ・・・とはいえ、機械的棒暗記が必須のテーマではあるにせよ、「助詞」を覚え込むにもそれなりの工夫は必要だろう。そしてその工夫の最たるものは、「覚える必要ないやつは覚えない」に尽きる:つまり「古典時代の助詞のうち、現代日本語と同じ意味のものはノーマークで無視する!」と決めてしまえば、暗記労苦の節減が図れる訳だ。しかも、そうして割愛できてしまう「現代語にもそのまま引き継がれる古典助詞」は、実は少なくない ― どころか、びっくりするほど多い! ― つまり、心にしっかりと刻み込むべき女子助詞の数は意外なほど少ないのである。次頁から始まる「助詞語義一覧表」には「あり得る全語義」を載せてあるが、更にもっと徹底的に割り切って、「現代語と違う語義だけ見たぃーっ!」という切迫した学習者の便宜を図るために、全巻末付録の「穴埋めテスト」の末尾には「非現代語的古典時代限定助詞語義」のみに絞り込んだ究極のケチケチ暗記リストを添えてあるので、いよいよ切迫しちゃった諸君はそちらを活用して切腹を免れるとよい(・・・その覚えるべき古典助詞語義のあまりの少なさに、諸君は思わず歓喜の涙か狂喜の高笑いにむせぶことであろう)。



・・・そういうわけで、以下、6種の助詞ごとにそれぞれの集団に属する数多くの語句の個別的な用法を逐一(暗記必須or暗記不要の目安付きで)列挙する。(毎度お馴染み阿呆っぽ語呂合わせもあるよ)完璧に覚え込むにはかなりシンドいリストだが、「ざぁーっと概観する」だけでも効果は絶大の筈だ。第一、意識的に覚えるべき対象は実はメチャクチャ少ないのである!・・・いずれにせよ、泣いても笑ってもこれが平安文法最後の砦、「平安調古文自在読み免許皆伝」までもう一息だ・・・読者諸君、頑張ってくれたまえ!(・・・ガンバレそうもない人はさっさと巻末へどうぞ

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コメント (1件)

  1. the teacher
    <質疑応答コーナー>
    ・・・各ページ下には、質疑応答用の「コメントを残す」ボックスが用意されています(見本版では無効になっています)。
    ・・・教材をよく読めばわかるような無意味な質問や、当該テーマに無関係な内容の投稿でなければ、誠実&正確な回答が返ってくるはずです。

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