04)(002)―形容動詞「ナリ活用」と「タリ活用」―

04)(002)―形容動詞「ナリ活用」と「タリ活用」―
<(戻る)  [総合目次] [■04)『形容動詞』■] (進む)>
♪音読モード(06:08)♪
 形容動詞の活用形{未然・連用・終止・連体・已然・命令}には次の二種類がある:
A)「形容動詞ナリ活用」・・・命令形(なれ)の使用例はほとんどなしなのでカッコ付き
{なら・なり/(に)・なり・なる・なれ・(なれ)}
B)「形容動詞タリ活用」・・・命令形(たれ)の使用例はほとんどなしなのでカッコ付き
{たら・たり/(と)・たり・たる・たれ・(たれ)}
 ・・・注目すべきは以下の二点である:
注目点1)連用形「に」・「と」の相違を除き、「ナリ活用」と「タリ活用」は、行こそ違えど、音の並びは全く同じ(ナ/タの後に「ラ・リ・リ・ル・レ・レ=ラ行変格変活用」を続けたもの)。
注目点2)「ナリ活用」「タリ活用」ともに「連用形」には2種類あり、うち1種は格助詞形。
 ・・・「ナリ活用」連用形「に」と「タリ活用」連用形「と」は、活用語の連用形というより「格助詞」そのものに見える;少なくとも、その他の「形容動詞の活用形」とは明らかに異質である・・・実は、この「格助詞そのもの」と見える「連用形」の「に/と」こそが「形容動詞」の出発点であることを、まず最初に解説しておこう。
●「副詞用法」が「形容動詞」の起源
 本源的に言えば「形容動詞」とは、「状態を表わす語」に格助詞「に/と」を付けたもの(例:「静か+に」「呆然+と」)に「副詞」の機能を持たせたのがその起源である;であるから、「ナリ活用連用形」の「に」&「タリ活用連用形」の「と」が「格助詞」そのものなのは、語源学的に言って理の当然なのだ。
 ・・・その「連用形としての格助詞」である「に」及び「と」にラ変動詞「あり」をくっつけた複合形として、後に生まれたのが、以下の活用形たちである:

未然=なら(に+あら)&たら(と+あら)
連用=なり(に+あり)&たり(と+あり)
終止=なり(に+あり)&たり(と+あり)
連体=なる(に+ある)&たる(と+ある)
已然=なれ(に+あれ)&たれ(と+あれ)
命令=なれ(に+あれ)&たれ(と+あれ)

 ・・・つまるところ、「連用形」(としての「格助詞」)「に」/「と」と、それ以外の活用形の相違は、直後の補助動詞「あり」の有無が生むもの、というわけである。
 こうした組成を覚えておいて、形容動詞(例:静かなり・堂々たり)の意味を取る場合には常に、その原形たる「A<と>あり(例:堂々とあり→どうどうたり)」「A<に>あり(例:静かにあり→しずかなり)」に還元して考えればよいのである。
04)(002)―形容動詞「ナリ活用」と「タリ活用」―
<(戻る)  [総合目次] [■04)『形容動詞』■] (進む)>

コメント (1件)

  1. the teacher
    <質疑応答コーナー>
    ・・・各ページ下には、質疑応答用の「コメントを残す」ボックスが用意されています(見本版では無効になっています)。
    ・・・教材をよく読めばわかるような無意味な質問や、当該テーマに無関係な内容の投稿でなければ、誠実&正確な回答が返ってくるはずです。

コメントは受け付けていません。