03)(003)―「カリ活用」の意味―

03)(003)―「カリ活用」の意味―
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♪音読モード(03:56)♪
 「~く+あり」から生まれた「形容詞補助活用」という来歴を逆にたどれば、元来「形容詞」には「あり」の付かない語形しかなかったことになる。実際には「連用形(く/しく)・終止形(し)・連体形(き/しき)」の3つが最初からあり、やや遅れて「已然形(けれ/しけれ)」が生じ、最後に「~く+あり」の補助活用が加わる、という道筋で発展してきたのが「形容詞」の来歴である。
 では、補助動詞「あり」を補っての「補助活用orカリ活用」が生まれたのは何故か?答えは「1)助動詞を後に従えるため;2)命令形を作るため」である。特に大事なのは「助動詞接続」のほう。その証拠に、「形容詞補助(カリ)活用」には「終止形」と「已然形」がない(命令形「~かれ」は「~く+あれ」の複合形だが、よく似た形の已然形「~けれ」の組成には補助動詞「あり」は含まれず、「カリ活用」ではない):「~く+あり」の末尾を飾る「あり」はラ行変格活用(ラ変)動詞と呼ばれる特殊形だが、この「ラ変動詞の終止形・已然形に接続する助動詞」は存在しない(除「なり・めり」の終止形撥音便接続)・・・接続すべき助動詞が存在しないために「形容詞補助(カリ)活用に終止形・已然形は不要」とみなされてこれらの活用形が生じなかった、ということは「補助(カリ)活用とは、形容詞が、後続部に助動詞を従えるために生まれた活用形」と考えてよい訳である。
 ただ一つ、例外的に「終止形・已然形を持つ補助活用」を持つ形容詞として「多し・・・多かり(終止)・多かれ(已然)」の一語がある;が、無視してよい(・・・類例多からず、どころか空前絶後の変わり種であるから、この一語を覚えること自体は楽だが、全くの孤立的例外に過ぎず、論理的にさしたる意味をもなさぬこの種の事例は、あっさり無視してしまうのもまた学習者の心得であろう:さも重宝そうにこの「多かり・多かれ」を指摘するものの本も多かれども、斯様に無意味な雑兵相手に兵力を浪費して敗軍の将となる例もまた多くぁり)。
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コメント (1件)

  1. the teacher
    <質疑応答コーナー>
    ・・・各ページ下には、質疑応答用の「コメントを残す」ボックスが用意されています(見本版では無効になっています)。
    ・・・教材をよく読めばわかるような無意味な質問や、当該テーマに無関係な内容の投稿でなければ、誠実&正確な回答が返ってくるはずです。

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