■04)(001)~(003)―「形容動詞」概論―

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♪(07:08)♪
 「形容動詞」とは、物事の状態や人間の心理を形容する語で、その言い切り形(=「終止形」)が「~+《1)なり》」で終わるものを「《1)ナリ》活用」と呼び、「~+《2)たり》」で終わるものを「《2)タリ》活用」と呼ぶ。

 「形容動詞」は《3)目的語》を取ることはできない。《3)目的語》を取るためには「形容動詞」ではなく「《4)動詞》」の形にする必要がある。

 2種に分かれる「形容動詞」の活用形(6形態)を{未然(M)・連用(Y)・終止(S)・連体(T)・已然(I)・命令(R)}の順番に並べて示せば、次のようになる:
◆「形容動詞」の「《1)ナリ》活用」のMYSTIR活用表

M=《5)なら
Y=《6)なり》及び1文字型《7)
S=《8)なり
T=《9)なる
I=《10)なれ
R=《11)(なれ)

◆「形容動詞」の「《2)タリ》活用」のMYSTIR活用表

M=《12)たら
Y=《13)たり》及び1文字型《14)
S=《15)たり
T=《16)たる
I=《17)たれ
R=《18)(たれ)


 「形容動詞」の活用形は、「《1)ナリ》活用」/「《2)タリ》活用」ともに(「ナ行/タ行」の行の違いはあるが){M=ラ・Y=リ・S=リ・T=ル・I=レ・R=レ}と、音の並びは全く同一(ラ行変格活用形)である。

 「形容動詞」の《19)連用》形(Y=用)には(「《1)ナリ》活用」/「《2)タリ》活用」のいずれも)2種類あり、そのうちの片方(1文字で終わる短い方)は本源的には「非活用語」の「《20)格助詞》」であって、「活用語」の「形容動詞」ではない。

 「形容動詞」の最も原初的な用法は、「状態を表わす語(A)」の直後に「《20)格助詞》」を付けて「Aの状態で」という「副詞」の機能を持たせたものであり、この形態をそのまま引き継いだ1文字型《19)連用》形(Y=用)が、「《1)ナリ》活用」に於ける「《21)》」及び「《2)タリ》活用」に於ける「《22)》」であって、その形が「《20)格助詞》」そのものである理由も、前者の活用形が「ナ行」/後者の活用形が「タ行」に収束する理由も、この語源学的事情によるものである。

 「《20)格助詞》」そのものの(1文字形態の)「《21)》」並びに「《22)》」を除く「形容動詞」の6つの活用形は、その原初的な1文字型《19)連用》形(Y=用)の直後に(ラ行変格活用)の補助動詞「あり」を付けて成立したものであるから、「形容動詞」の活用形は(「《20)格助詞》」そのものの形をとどめる《19)連用》形(Y=用)の「《21)》」/「《22)》」を除いて)「ラ変動詞」の活用形{M=ぁラ・Y=ぁリ・S=ぁリ・T=ぁル・I=ぁレ・R=ぁレ}(の語頭にナ行音/タ行音を付けたもの)となる。

 「形容動詞」の《23)命令》形(R=令)(「~なれ/~たれ」)は、活用表の上には(しばしば○や(カッコ付き)の形で)記載されているが、実際の古文の中で用いられた例はほとんどない。

 「形容動詞」は上代(平安時代から見た奈良時代以前)には未発達で、中古(平安期)になって6種の活用形が定まったが、当時用いられたのは専ら「《1)ナリ》活用」であり、もう一つの「《2)タリ》活用」は、中世(鎌倉時代)以降の《24)漢文》訓読調の男性的で硬質な語として用いられたものの、和文脈ではほとんど全く用いられず、中古女流文学中にはほぼ絶無である。「漢語」由来の「《2)タリ》活用」には、「様態」を表わす「~然」を付けた語形(例:「呆然たり」)や、同一語の反復語形(=「《25)畳語》」)(例:「堂々たり」)が多い。

 「形容動詞」と「断定助動詞」とに共通の語形で現われる「《1)なり》」の識別法は、直前に「《26)連用》修飾語」(例:いと)を付けて意味が通じれば「形容動詞」、直前に「《27)連体》修飾語」(例:我が)を付けて意味が通じれば「断定助動詞」と考えればよい。
…5min
答:《1)なり(ナリ)》《2)たり(タリ)》《3)目的語》《4)動詞》《5)なら》《6)なり》《7)に》《8)なり》《9)なる》《10)なれ》《11)(なれ)》《12)たら》《13)たり》《14)と》《15)たり》《16)たる》《17)たれ》《18)(たれ)》《19)連用》《20)格助詞》《21)に》《22)と》《23)命令》《24)漢文》《25)畳語》《26)連用》《27)連体》
■04)(001)~(003)―「形容動詞」概論―
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コメント (1件)

  1. the teacher
    <質疑応答コーナー>
    ・・・各ページ下には、質疑応答用の「コメントを残す」ボックスが用意されています(見本版では無効になっています)。
    ・・・教材をよく読めばわかるような無意味な質問や、当該テーマに無関係な内容の投稿でなければ、誠実&正確な回答が返ってくるはずです。

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