古語試験:水準=【A】/語義総数=<4>/ブロック=[20]


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〈A〉いう【優】
《「優」の原義は「俳優」=「神前で各種の芸を演じること」で、「戯れ偽り」の語義はここに由来する。が、古語「優」の主たる語義は、同音「」の持つ「豊潤」の語義に発する「優秀」・「優美」であり、「」と並んで平安的理想美を代表する語となった。》
〔形動ナリ〕{なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}(1)〈(性格・外見・振る舞い・書・画・音楽などについて)人物の物質充足精神余裕から生まれる美が感じられる。〉優美だ。  (2)〈(他者との相対比較上)まさっている。〉優秀だ。  (3)〈(物質的に)豊かである。〉裕福だ。  (4)〈(本気本物ではなく)かりそめいつわりだ。〉ほんの戯れだ。

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〈A〉いたはし【労し】
《「」=「(自分が)苦しい状況にある」系の「(病気や怪我で)苦しい」・「(心労・尽力で)骨が折れる」の語義と、苦境にある誰かに対し同情し手を差し伸べたい系統の「気の毒だ」・「いたわってやりたい」の語義に大別される。》
〔形シク〕{しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}(1)〈(自分自身が、病気や怪我で)苦痛を感じる。〉苦しい。  (2)〈(自分自身が、心遣い・尽力して)苦労する。〉骨が折れる。  (3)〈(病気の者や弱小な者に対して)大事にしたい気持ちになる。〉大切にしたい。  (4)〈(苦境にあえぐ他人に同情して)心が痛む。〉気の毒だ。 

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〈A〉うつくし【愛し・美し】
《「親から子/夫から妻」のような肉親間での「目上から目下への愛情」が原義。平安期には「年下・小型・無力な存在」への「守ってあげたい可憐な感覚」の語義が加わり、中世には「外観上の美麗さ」、中世末から近世にかけて「行動上の潔さ」の語義も加わった。》
〔形シク〕{しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}(1)〈(親子夫婦間での)愛しいたわりたい感覚。〉いとおしい。  (2)〈(相手の小ささ・弱さ・けなげさに対して)自身の心のとげとげしさが失せ、とろけるような気持ちで、相手を守ってあげたくなる感覚。〉可愛らしい。  (3)〈(外観に関して)美意識心地よく訴えてくる感覚。〉美麗だ。  (4)〈(行動・出来映えが)何らかの尺度に照らして、賞賛に値する感覚。〉見事だ

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〈A〉おくる【後る・遅る】
《「時間的な遅れ」の語義から発展して、「人に死に後れる」・「他者との比較対照上、劣る」・「気後れする」などの語義を持つに至った。他動詞形は「後らかす」。》
〔自ラ下二〕{れ・れ・る・るる・るれ・れよ}(1)〈(時間的に)になる。〉遅れる。  (2)〈(他の人が死んだ後に)自分だけ生き残る。〉死に後れる。  (3)〈(才能・容姿・性質などが)他者と比較して、である。〉劣る。  (4)〈(自分の劣勢を感じて)消極的な気持ちになる。〉気後れする。

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〈A〉おとなし【大人し】
《名詞「大人」の持つ「一人前」・「中心的」・「老練」の意を形容詞化したもの。「おとなおとなし」の畳語形もある。現代語の「おとなしい=事を荒立てない」は、中世以降生じた「温和」の語義が発展したもの。》
〔形シク〕{しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}(1)〈(成人が)成熟した大人の特性を具備している。(子供が)年齢よりも妙に大人びている。〉大人らしい。ませている。  (2)〈(年齢・経験から)集団内で中心的な立場にある。〉中心人物である。  (3)〈(年かさの者に特有の)年齢・経験に裏打ちされた気配りが行き届いている。〉思慮深い。  (4)〈(性格・行動が)他人に素直に受け入れられやすい。〉温和だ。

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〈A〉おのづから【自ら】
《「自己」の意の「己」+「位置」を示す上代の格助詞「つ」+「源泉」の意の「柄」=「自分自身を源泉として」が原義。同種の組成の語には「同胞」(=同じ女性のから生じた人間=兄弟)/「遠つ日」(=現在から見て隔たった時点に位置する日=一昨日)がある。》
〔副〕(1)〈(意志意識の作用を伴わずに)事態が自然に発生するさまを表わす。〉自然発露的に。  (2)〈(意志性・計画性を伴わずに)事態が無意識のうちに発生するさまを表わす。〉いつの間にか。  (3)〈(必然性を伴わずに)事態が偶発的に発生するさまを表わす。〉たまたま。  (4)〈(仮定表現を伴って)婉曲に物事を想定する。〉もし仮に・・・。

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〈A〉かたち【形・容・貌】
《「物の外形」が原義だが、「人の容貌顔かたち」としての使用例が多く、(身なりを含む)全身的印象を表わす「姿」と対照的に用いる。「形有り」(=美形だ)、「形人」(=美女・美男)など、「かたち」を含む連語は「顔立ち」に関するものと覚えておくとよい。》
〔名〕(1)〈(物事の物理的な)形象。〉姿形。  (2)〈(人の)の造り。〉容貌。  (3)〈かたちの美しさ。(「形人」の略、主に女性について)顔立ち美しい人。〉美しい顔立ち(の人物)。  (4)〈(「形有様」の略)(無形の)物事の状態。〉有様

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〈A〉ここち【心地】
《その場の状況から漠然と受ける気分感じを表わす語。類義語「心」が持つ「対象への指向性・強い意志性」は「心地」には薄く、「なよなよ・へにゃへにゃ」とした受動惰弱性(しばしば「病気」の気配さえ)伴う。》
〔名〕(1)〈(その場の状況に触発されての)一時的な精神状態。〉気分。  (2)〈(人・物・状態を)別の何かに例えて言う語。〉・・・のような感じ。  (3)〈(事態に正常に対処する上で必要な)精神状態や思考。〉きちんとした考え。  (4)〈(病気などで)肉体的・精神的に弱った状態。〉病弱。気分がすぐれぬこと。

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〈A〉こころばへ【心延へ】
《「延へ」は草木が「生える」にも通じ、生まれながらの特性として外の世界に延びて行きたがる性質を表わすので、「心延へ」には「生得的特質」の感覚が強い。一方、「心馳せ」は人為的な「心の用い方」だが、「心延へ」もこの語義で用いられる場合もある。》
〔名〕(1)〈(人やそれ以外の生き物の)本源的な特質。〉性質。  (2)〈(人物・出来事への対応に於ける)心の用い方。〉心遣い。  (3)〈(事物が、自然に、または、人為的に)発する雰囲気。〉風情趣向。  (4)〈(発言などの)意味。〉主旨

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〈A〉さすが【流石・遉】
《上代の副詞「然すがに」の別読み語で、前述の内容を受けつつ「そうは言っても・・・」という逆接に加えて、現代語同様の「流石!」として後述の讃辞を導く用法もある。形容動詞としても用い、副詞同様の逆接を表わす他、事態を否定的に受け止める「やはり何となく気が咎める」の意も表わす。》
〔形動ナリ〕{なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}(1)〈(相反する内容を持つ前後の脈絡をつないで)逆接的陳述を導く。〉・・・ではあるが、そうは言ってもやはり~である。いくら・・・だとしても、~はあるまい。  (2)〈(特に照応する直前の脈絡を持たずに)事態に対する否定的な心情を表わす。〉気が咎める。 〔副〕(1)〈(相反する内容を持つ前後の脈絡をつないで)逆接的陳述を導く。〉・・・ではあるが、そうは言ってもやはり~である。いくら・・・だとしても、~はあるまい。  (2)〈(特に照応する直前の脈絡を持たずに)予想・期待・評判通りの事態であることを強調的に表わす。〉さすがは

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〈A〉しのぶ【忍ぶ】【慕ぶ・偲ぶ・賞ぶ】
《「忍ぶ」と「慕ぶ・偲ぶ・賞ぶ」は語源的には別語。「堪え忍ぶ」及び「秘密裏に行なう」の語義には「ぶ」の漢字を宛て、「慕う」及び「賞美する」の「しのぶ」(中古以降の語で、上代には「しのふ」と清音)の宛字は「ぶ・ぶ・ぶ」である。》
〔他バ上二〕{び・び・ぶ・ぶる・ぶれ・びよ}〔他バ四〕{ば・び・ぶ・ぶ・べ・べ}【忍ぶ】(1)〈感情を抑制して表情行動に出さないようにする。〉堪え忍ぶ。  (2)〈人目に付かぬよう隠したり、密かに行動する。〉秘密裏に事を運ぶ。隠蔽する。  【慕ぶ・偲ぶ・賞ぶ】(3)〈(主に、近辺にいない人のことを)心の中恋しく思う。〉思慕する。  (4)〈(目で見て素晴らしいと感じる。〉賞美する。

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〈A〉なまめかし【生めかし・艶めかし】
《動詞「生めく」の形容詞化。現代には「艶めかしい」の表記で残るので「艶っぽい・艶やか」の性的魅力に引きずられがちだが、"生"に由来する「新鮮:fresh/自然:naturalな魅力」の語義も忘れてはならない。》
〔形シク〕{しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}(1)〈(人が)若さから来る新鮮な美をたたえている。〉若々しい。  (2)〈(人や物が)(ちょっと見ではわからないが)よく見るとなかなかどうして魅力的だ。〉意外魅力的だ。  (3)〈(人・道具・人為的景観などが)自然に溶け込んだ調和的な美を感じさせる。〉自然さりげない魅力がある。  (4)〈(人目を引くような)主張の強い美しさがある。(異性の目から見て)肉感的な魅力が強く感じられる。〉艶やかだ。色っぽい。

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〈A〉ぬべし【ぬべし】
《この「ぬ」は確述(意味を強める)。実現が確実視される推量「・・・しそうだ」、確実にやり遂げる見込み「・・・することができそうだ」、意志表明「きっと・・・してしまうつもりだ」、妥当性の判断「・・・するのが適当だ」など、脈絡次第で様々な意味を表わす。》
〔連接語〕《ぬ〔助動ナ変型〕完了+べし〔助動ク型〕推量》(1)〈(確定的推測)確実にそうなると思われる事態を推量の形で述べる。〉・・・しそうだ。  (2)〈(完遂見込み確実にやり遂げられそうであるとの観測を述べる。〉・・・することができそうだ。  (3)〈(強い意志必ずやり遂げようとする意志を表わす。〉・・・てしまうつもりだ。  (4)〈(妥当性の判断)そうするのが適当であろうという判断を表わす。〉・・・てしまうべきだ。

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〈A〉ふみ【文・書】
《漢語「文」の読み「ふん」が変化した語。元来は「文書」全般を指した。やがて、漢字中心の文書ということから「文・詩」、更には「中国を手本とした学問=漢学」(この語義では「大和魂」の対義語)の意が生じた。「手紙」の語義は現代でも文語の中に残っている。》
〔名〕(1)〈紙面上に文字の書かれたもの。〉文書。  (2)〈紙面を通じての他者への通信。〉手紙。  (3)〈(日本独自の和歌仮名文学と対比して)中国伝来の文、及び、文。〉漢詩文。  (4)〈(実務的な能力「やまとだましひ」と対比して)(主として、中国に範を取った)文物とその体系的学習。〉学問学。

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〈A〉ほど【程】
《ある動作を行なう際に経過する「時間の長さ」が原義。その時間幅の中で移動可能な「空間距離」や、一定時間内に変化する物事の「様子程度度合」、更には社会学的に見た人間の属性を示す様々な尺度を意味する「のほど」へと語義が広がった。》
〔名〕(1)〈(時間的程度)ある動作・行動が行なわれる際に経過する一定の時間幅を表わす。〉。  (2)〈(空間的程度)具体的な空間距離や、その空間の内部・近辺に存在する意を表わす。〉距離辺り。  (3)〈(質量的程度)一定範囲内で変化し得る物事について、現時点でどの段階・どんな様態にあるかを表わす。〉程度様子。  (4)〈(社会的程度)人間の個人の属性社会的に規定する様々な尺度を表わす。〉の程。年齢

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〈A〉まこと【真・実・誠】
純粋正確の意の接頭語「ま」に「事」を付けた語。ありのままを忠実に伝える「事実真実」と、何の邪心もない「誠実」の意味に二分されるのは現代語も古語も同じ。副詞としては「実に」、感動詞としては(何かを思い出して)「そうそう、そういえば」の意を表わす。》
〔名・形動ナリ〕{なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}(1)〈物事をありのまま忠実に伝え、虚偽がないこと。〉真実。  (2)〈悪い思惑も何もなく、心底から相手を思いやる気持ち。〉誠実。 〔副〕〈程度の甚だしさを強調する語。〉本当に。 〔感〕〈(多く「まこと」の形で)何かを思い出したり、咄嗟に思い付いたりした時に言う語。〉そうそう

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〈A〉まばゆし【目映ゆし・眩し】
《「目」+「映ゆし」で、強い光が目に当たって直視できず「まぶしい」が原義で、転じると讃辞光り輝く」となる。古語特有の語義としては、視覚的眩惑を「正常状態からの逸脱」と見た貶し言葉としての「(自身が)恥ずかしい」・「(他者が)見るに堪えない」がある。》
〔形ク〕{から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}(1)〈(物理的に)強い光が目に当たって、直視できぬ感覚を表わす。〉まぶしい。  (2)〈(比喩的に)まるで光り輝く太陽のように立派なさま。〉目映いばかりに見事だ。  (3)〈(自分自身について)人とまともに顔を合わせられないほどに引け目を感じる心理を表わす。〉恥ずかしい。  (4)〈(他者の様子について)あまりにも度を超していて目をそむけたくなるさまを表わす。〉見るに堪えない

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〈A〉をのこ【男子・男】
《「をのこ」は「めのこ」と対になる語。「め」が「」と同時に動物の「・♀」をも想定させるように、「を」にも「」のみならず人間以下の生き物の「雄・牡・♂」の響きがある。「をのこ」の語義全般に、「をとこ」よりも一段低い存在としての含みがあるのはそのためである。》
〔名〕(1)〈(結婚適齢期以前/身分が低い、などの条件から、女性から見て結婚相手とはみなされない)若い男子。〉の子。  (2)〈(性別に言及し)(性に対する)一般的な意味での性。〉。  (3)〈(人・人から見た)下働きの男性。〉下男。  (4)〈(宮中の清涼殿の殿上の間に伺候する)雑用係の男性。〉蔵人

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