【いや】?うぅん、とってもイイから、もっともっと。

   [91] 【いや】?うぅん、とってもイイから、もっともっと。
「古文単語千五百Mastering Weapon」 No.622【弥増さる】
 「いや!」と言われていい気持ちになる男はあまりいないだろうが、古語の「いや」は「弥」であり、やや転じれば「いよ」であり、畳語にすれば「いよいよ」となって、ここまでくれば「益々いっそう・・・」の意味が弥が上にも印象付けられることであろう。もっとも古語では「いよいよ」には寸足らずの「いよよ」で出てくる場面が多く、完全なるクライマックスに上り詰める寸前でヘタっている感じ(漢字で書くとどっちも「愈」)であるが、実際には一旦「いよいよ」の域まで達した後で、「母音がちょっと邪魔」なので「い」を脇に退けた形の「いよょ」に落ち着いたものである。
 古語でこの「いや」にスポットライトが当たる語としては、「いやまさる(弥増さる)」がある。「いよいよもって増大する」の意味であって、「イヤな気分がどんどん強まる」みたいな倦怠期の恋人・夫婦の感情を表わす悲しい語ではない。
 時代劇好きな人なら(そんな人が受験生に何人いるか疑わしいが)、お祝いの席で一同が唱える「いやさか!」の音頭ぐらい聞いたことがあるだろう。「アタシのチャリンコ、変速ギア付いてないから、上りはほんと、キツいのよ・・・イヤっ坂!」みたいな連想する人(そんな人がこの筆者以外に何人いるか疑わしいが)は、「弥+栄ゆ=いやさかゆ=益々の御繁栄をお祈りします」の字面をもってイメージ修正を図ってほしい。
 なお、「いやおうもなく」なる言い回しに含まれる「いや」は、これはもう間違いなく「イヤ!否・・・NO!」であって、直後の「おう!=応!・・・よっしゃ!OK!YES!」と対比をなして「相手がNOと言おうがYESと言おうが、そんなことにはおかまいなしに」という有無を言わさぬ強引さを表わす表現である。
 いささかとりとめもない方向(一部、方向というか、いやらし方面というか)へと脱線してしまった「いやまし」・「いやさか」の話・・・これ以上わんさかと漸増傾向を示すといやがる人も多かろうから、ここらでお開きでいぃや

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コメント (1件)

  1. the teacher
    ・・・当講座に「man-to-man指導」はありませんが、「コメント欄」を通しての質疑応答ができます(サンプル版ではコメントは無効です)

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