きほふ【競ふ】〔自ハ四〕

   [498] きほふ【競ふ】〔自ハ四〕

〈B〉 きほふ【競ふ】
《「他者に負けまいとして、勢い込んで事に向かって行く」が原義とされ、「気」+「負ふ」に発するものか、あるいは「勢ふ」(=息+覆ふ・・・その活力が周囲を威圧する)の略形かとも言われる。現代にも「気負う」の当て字で生き残っている。》
〔自ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈(他者に負けまいとして)先を争って事を行なう。〉 張り合う。競争する。競合する。競い合う。我先にと・・・する。負けじと・・・する。   (2) 〈(多く、落ち葉の散るさまに言及して)(無意志の存在が)まるで先を争うかのように何かをする。〉 一斉に・・・する。はらはらと舞い散る。散り急ぐ。
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【競ふ:きほふ】は【競ふ:き<そ>ふ】:化け字に負けじと気負うべし
 現代日本人の目には、古文は一種の「外国語」である。文法も語句も、似ているけれども、現代語とは微妙に違っている。が、その微妙な差異に着目すれば、目からが落ちるようにすんなりに落ちる古語も多いものである。
 「きほふ」のままでは「着覆ふ」だか「来終ふ」だかはたまた「臭ふ」だか、さっぱりわからぬこの古語も、1文字変えて「き<そ>ふ」とすれば「競ふ」と読めて「先を争う」語義が明快になる。更に別の形で1文字修正すれば「気負ふ」となって現代語「気負い」に通じ、少々の文字追加を試みれば「息+覆ふ=いきおほふ=いきおふ・・・きおふ・・・きほふ・・・きそふ」の図式も見えてくる。
 このように、現代日本人にとって、古語学習は謎かけパズルのネタの宝庫なのである。「化け字」で曇った解釈の目は、「変え字」ひとつ(or「添え字」ひとつふたつ)ですっきりするのだから、古文学習とはまた、そういう目の付け所を見極める能力を磨く営みとも言えるのだ。

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コメント (1件)

  1. the teacher
    ・・・当講座に「man-to-man指導」はありませんが、「コメント欄」を通しての質疑応答ができます(サンプル版ではコメントは無効です)

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