なまじひ【生強ひ・憖】〔形動ナリ〕

   [1065] なまじひ【生強ひ・憖】〔形動ナリ〕

〈C〉 なまじひ【生強ひ・憖】
中途半端「生」に、自身の気持ちや状況・道理などに逆らって無理に事を進める「強ひ」を付けた語。連用形「なまじひに」で副詞的に用いる用法もある。その略形「なまじひ」は近世以降生じ、これが現代語「なまじ」・「なまじっか」につながった。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈(自分自身)本心では嫌なことを、えて無理をしてやろうとするさま。〉 本心に逆らって。心にもなく。えて。強いて。依怙地に。意地を張って。   (2) 〈(自分自身)本当はやりたくないことを、仕方なしにするさま。〉 しぶしぶ。不承不承。やむなく。気が進まないが。   (3) 〈必然性もなく、他者の同意も得られぬ状況下で、逆効果になりそうな行動へと強引に突っ込んで行くさま。〉 よせばいいのに。なまじっか。無理矢理。   (4) 〈徹底を欠くさま。〉 中途半端だ。いい加減だ。ぞんざいだ。適当だ。生半可だ。
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【なまじひ】→【なまじ】・【なまじっか】
 「中中」の部分での語源学的考察でも取り上げた「生+強ひ」であるが、繰り返せば、この「生」は「中途半端」の意味であり、これを重ねた「生生(なまなま)」は「なまなまなことでは・・・できない」のような形で現代日本語にもなお残る。この意味では「生半(なまなか)」でも同じであり、「半半/中中(なかなか)・・・できない」に通じることは、別記事で指摘済みである。
 そしてまた、そのようにして遠縁の親戚的に「中中」につながるこの「なまじひ」が、その現代型「なまじ/なまじっか」の表わす語義「そんなことするより、むしろしないほうがまだマシ」に於いて、古語の「中中」の語義に完全に重なることも(本作を順繰りに読んでいる律儀な読者なら)覚えているであろう。
 筆者は、全く同じことを二度も三度も繰り返し言う/言われるのは大嫌いな体質であるが、語学に於いてはこの種の再放送が大事なことであるのも事実・・・この事実の指摘だけは、二百回でも三千回でも、機会があるごとに繰り返させてもらうつもりである(それが「生強ひ=逆効果」になることもあるまいから)。

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コメント (1件)

  1. the teacher
    ・・・当講座に「man-to-man指導」はありませんが、「コメント欄」を通しての質疑応答ができます(サンプル版ではコメントは無効です)

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