ためらふ【躊躇ふ】〔自ハ四〕〔他ハ四〕

   [915] ためらふ【躊躇ふ】〔自ハ四〕〔他ハ四〕

〈A〉 ためらふ【躊躇ふ】
人為的作用で曲げ・伸ばしする意の「矯む」に反復・継続の意の「ふ」を付けて、他動詞としては「高ぶる感情を抑制する」の意を表わし、自動詞としては、現代語同様の「行動の前段階で立ち止まり、迷う」の他に「病状を落ち着かせる/静養する」の語義をも持つ。》
〔自ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈病気の勢いを落ち着かせる(ことを目的に活動を控えて休む)。〉 病状を落ち着かせる。養生する。静養する。安静にする。   (2) 〈行動に移る前の段階で、決断できずに立ち止まり、迷う。〉 躊躇する。ぐずぐずする。ためらう。二の足を踏む。踏ん切りが付かない。   
〔他ハ四〕 {は・ひ・ふ・ふ・へ・へ}
  (1) 〈高まった感情を抑制する。〉 気を落ち着かせる。気を静める。高ぶりを抑える。鎮静化する。
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古語の【ためらひ】は案外積極的
 現代語では「行動に出られず、弱気に立ち止まる」=「専守防衛」の雰囲気がある「ためらふ」だが、古語ではこれ以外に「興奮状態にある気持ちを落ち着かせる」とか「病状が快復に向かう(・・・ようにするため、静養する)」といった「守り」と「攻め」の中間的色彩の語義がある。
 「ためらふ」の語源は「む(=人為的曲げ伸ばし)+ふ(反復)」であるから、上記の意外性ある語義は、「敵(=取り乱した精神/乱れた体調)と自分との間に、タメを作る」と考えればよいであろう。ボクシングで言えば、殴りかかってくる相手に対してただガードを固めてじっと耐えているのではなく、身体を前後左右に揺らしたり(スゥェイバック)、フットワークを使って相手のパンチをかわしてみたり、時には軽くこちらからフェイント攻撃を仕掛けてみたりして、こちらの間合いへと持ち込んで行く作戦、というわけである。自分も相手も、お互いそうした「自分の間合い」へと敵を引きずり込もうとして競い合うスポーツを身体で知っている人ならば、「無闇に突っ込まず、受け太刀一方にもならず、上手に’タメを作る’」の感覚でこの「ためらふ」を捕捉することができるはずである。

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コメント (1件)

  1. the teacher
    ・・・当講座に「man-to-man指導」はありませんが、「コメント欄」を通しての質疑応答ができます(サンプル版ではコメントは無効です)

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