▲ | ▼ [118] いかさま【如何様】〔形動ナリ〕〔副〕〔感〕
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〈C〉
いかさま【如何様】
《状況を表わす形容動詞「如何なり」の語幹に、様態を表わす名詞「様」が付いたもの。現代の「いかさま」(=偽物)の意が生じたのは近世以降(「いかさまもの(=本物も、大体こんな風なものだろう、という模造品)」の略形)であり、近世以前の「如何様」に「インチキ」の意味はない。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
(1) 〈(しばしば不審・困惑を伴いつつ)状態・行為についての疑問の意を表わす。〉 どのように・・・か。どんな具合か。どう・・・だというのか。
〔副〕
(1) 〈(多く下に推量の表現を伴って)確実な予想を表わす。〉 きっと。確かに。間違いなく。どう見ても。 (2) 〈(下に意志・希望の表現を伴って)強い決意・願望を表わす。〉 何としても。どうしても。是非とも。どうにかして。きっと。絶対に。必ずや。
〔感〕
(1) 〈相手の言葉に同意する意を表わす。〉 いかにも。ごもっとも。なるほど。確かに。ええ、そうですね。
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〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
(1) 〈(しばしば不審・困惑を伴いつつ)状態・行為についての疑問の意を表わす。〉 どのように・・・か。どんな具合か。どう・・・だというのか。
〔副〕
(1) 〈(多く下に推量の表現を伴って)確実な予想を表わす。〉 きっと。確かに。間違いなく。どう見ても。 (2) 〈(下に意志・希望の表現を伴って)強い決意・願望を表わす。〉 何としても。どうしても。是非とも。どうにかして。きっと。絶対に。必ずや。
〔感〕
(1) 〈相手の言葉に同意する意を表わす。〉 いかにも。ごもっとも。なるほど。確かに。ええ、そうですね。
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【如何様】必ずしも「イカサマ」ならず
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「いかさま」は、現代語では「インチキ」の意味でのみ用いる。が、これは近世以降の後発語義であって、それ以前の時代の「如何様」にこの語義はない。
「インチキ・詐欺・ペテン・やらせ・くわせもの」の意味の「いかさま」は、「本物も、まぁ大体こんな風な感じ」=「いかにも本物っぽい・・・けど実は真っ赤な偽物」というところから生じたものであって、このあたりがいかにも近世の語という感じである。
「本物」を意識して「まぁ、こんな感じに似せて作れば、バカなカモは引っかかるかもね」という詐欺行為が成立するための前提条件としては、「大勢の人間が’うろ覚えの噂’を通して知っている(が本物のことはよく知らない)羨望の的」となる何かが存在せねばならない。そうした「今、巷で噂の、これが例の***だよーっ!さぁさ、買ったり、買ったり!」と煽る商売が成り立つのは、「比較的広域の消費経済圏」が成立し、自分の知らぬ土地からもいろんな品物や情報が舞い込んでくる社会背景あればこそ、である。
狭い京都の御公家さんたちの閉鎖的社会の中で展開する中古の物語の中では、他者の動向については誰もが(異常なまでに細かく)熟知しているのだから、「うろ覚えの羨望心理を突いたイカサマ商売」など成り立たない・・・こうしたペテンにかかってくれるのは、「京都のキレイな舞妓はんや大阪のド派手な姐ゃんたちの間で今大流行、上方じゃぁ女の子は誰もがみんなこれを付けている、ってーぐらいの、さぁさ、よーっく見ておくれ ― これがその’ネコミミ’だよっ!お尻の形に自信のあるお嬢さんなら、ついでにこちらの’ミケシッポ’もどーだいっ?四つ足ついてすり寄って’ニャオ’って迫れば、どんな男もイチコロだよーっ!」的な古典的誘い文句にコテンと引っかかる「お江戸の純朴な町娘たち」あたりであろう。
自分自身がロクに知らぬ世界へと、知らぬがゆえの羨望のヨダレ垂らして、背伸びして入り込もうとするからこそ、ペテン師どもの餌食になるのであって、誰もが何でも知っている閉鎖系の社会や、知らぬ事にはきちんとした理知的警戒心を発揮する知識人が主役の世界では、この種の地に足がついてない連中相手のイカサマ話など不成立、という理屈である。
「インチキ・詐欺・ペテン・やらせ・くわせもの」の意味の「いかさま」は、「本物も、まぁ大体こんな風な感じ」=「いかにも本物っぽい・・・けど実は真っ赤な偽物」というところから生じたものであって、このあたりがいかにも近世の語という感じである。
「本物」を意識して「まぁ、こんな感じに似せて作れば、バカなカモは引っかかるかもね」という詐欺行為が成立するための前提条件としては、「大勢の人間が’うろ覚えの噂’を通して知っている(が本物のことはよく知らない)羨望の的」となる何かが存在せねばならない。そうした「今、巷で噂の、これが例の***だよーっ!さぁさ、買ったり、買ったり!」と煽る商売が成り立つのは、「比較的広域の消費経済圏」が成立し、自分の知らぬ土地からもいろんな品物や情報が舞い込んでくる社会背景あればこそ、である。
狭い京都の御公家さんたちの閉鎖的社会の中で展開する中古の物語の中では、他者の動向については誰もが(異常なまでに細かく)熟知しているのだから、「うろ覚えの羨望心理を突いたイカサマ商売」など成り立たない・・・こうしたペテンにかかってくれるのは、「京都のキレイな舞妓はんや大阪のド派手な姐ゃんたちの間で今大流行、上方じゃぁ女の子は誰もがみんなこれを付けている、ってーぐらいの、さぁさ、よーっく見ておくれ ― これがその’ネコミミ’だよっ!お尻の形に自信のあるお嬢さんなら、ついでにこちらの’ミケシッポ’もどーだいっ?四つ足ついてすり寄って’ニャオ’って迫れば、どんな男もイチコロだよーっ!」的な古典的誘い文句にコテンと引っかかる「お江戸の純朴な町娘たち」あたりであろう。
自分自身がロクに知らぬ世界へと、知らぬがゆえの羨望のヨダレ垂らして、背伸びして入り込もうとするからこそ、ペテン師どもの餌食になるのであって、誰もが何でも知っている閉鎖系の社会や、知らぬ事にはきちんとした理知的警戒心を発揮する知識人が主役の世界では、この種の地に足がついてない連中相手のイカサマ話など不成立、という理屈である。
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