古語試験:水準=【A】/語義総数=<2>/ブロック=[10]

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〈A〉あからさま【あからさま】
《本来の居場所から一時的に離れる「離る」が原義で、上代には「突如として元の状態を離れる→いきなり変化する」の意で用いたが、中古以降は「かりそめに」が中核的語義となる。現代に残る「明白」の意は、「離ら様」と「明から様」の混同により近世以降生じたもの。》
〔形動ナリ〕{なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}(1)〈永続的・恒久的なものでないさま。〉一時的だ。  (2)〈(「あからさまにも」の形で、下に打消の語を伴い)否定の意味を強調する。〉全然・・・ない。

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〈A〉あやなし【文無し】
《自然現象の中に見られる一定の様式秩序や物事の文様を示す「あや」+「なし」で、パターン認識不能な不可解さ、が原義。同根語「あいなし」が主観嫌悪感に重きを置くのに対し、「あやなし」は非論理性に対する非難の色彩が濃い。》
〔形ク〕{から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}(1)〈(対象に規則性や秩序がないため)論理的に納得できない。〉わけがわからない。  (2)〈(物事の存在や行動に関して)正当な理由・根拠・意味・目的が見出せない。〉無意味だ。

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〈A〉あらまほし【有らまほし】
《動詞「あり」の未然形+希望の助動詞「まほし」の連語と見るならば「(自身の願望を表わして)そうあってほしい」、一語の形容詞と解釈すれば「(自身の願望や評価基準に適っていて)理想的だ」と、意味が分かれる。》
〔連接語〕《あり〔自ラ変〕+まほし〔助動シク型〕希望》〈(自身の願望を表わして)そうあることが望ましい。〉・・・でありたい。 〔形シク〕{しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}〈(対象への評価を表わして)望ましい。〉理想的だ。

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〈A〉いさむ【諫む】【禁む】
《「人はいさ心も知らず」(=人の心は、さぁて、どんなものかわかりません)の句(紀貫之)や、「いさかひ(諍ひ)」(=口論喧嘩)に含まれる拒否抑止系の語「いさ」に「む」を付けて動詞化し、相手の行動に対し否定的に作用する「禁止忠告」の語義を持たせたもの。》
〔他マ下二〕{め・め・む・むる・むれ・めよ}【禁む】(1)〈(権威強制力を伴って)相手の行動を差し止める。〉禁止する。  【諫む】(2)〈(道理に照らして)相手に、その行動の不当性訴える。〉忠告する。

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〈A〉いと【いと】
《程度の甚だしさを表わす形容詞「し・し」の語幹「甚」の母音交替形で、「く・く」と同根語。「いたく(いとう)」が主に動詞を修飾するのに対し、「いと」は主に形容詞形容動詞副詞を強調する。「いといと」・「いとしも」・「いとも」などの強調形もある。》
〔副〕(1)〈(主に形容詞形容動詞副詞を修飾して)程度甚だしいさまを表わす。〉とても。  (2)〈(下に打消の語を伴って)程度はなはだしくないことを表わす。〉それほど・・・ない。

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〈A〉うべ【宜・諾】
承諾の意を表わす感動詞「う」に、動詞「合ふ」の連用形「あへ」が付いたものの転か、と言われる。中古以降は「べ」・「べ」とも表記される。形容詞「うべうべし(むめむべし)」、動詞「うべなふむべなふ)」などの元になった語。》
〔形動ナリ〕{なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}〈(道理に照らして)納得できるさま。〉もっともだ。 〔副〕〈(事態に対して)納得する気持ちを表わす。〉なるほど

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〈A〉かたほ【片秀・偏】
《「真秀」の表わす外面的美しさの対義語としての「(主に女性の器量が)不細工だ」、類音語「片端」の類推と思われる「不完全だ」の語義を持つ。》
〔形動ナリ〕{なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}(1)〈(「片端」の誤読か?)どこかに欠けた部分があって、完全状態とは思われないさまを表わす。〉不完全だ。  (2)〈(「真秀」の対義語として、主に性の)顔立ちが見た目に美しくないことを表わす。〉不器量だ。

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〈A〉こよなし【こよなし】
《語源は「越ゆるもの無し」とも「より勝るもの無し」とも言われ、他者との相対比較上の優越性を意味する・・・筈だが、日本は古来、比較対象を明確に見据えることをせぬ「絶対文化圏」につき、「こよなし」も比較級というより絶対最上級的ツキヌケ独善讃辞の色彩が濃い。貶して「最悪」の意に用いる場合もある。》
〔形ク〕{から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}(1)〈(最上級的賛辞として)とにかくひたすらに素晴らしい。〉この上ない。  (2)〈(良きにつけ悪しきにつけ)他に比較して格段の相違がある。〉段違いだ。

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〈A〉させたまふ【させ給ふ】
《「さす」が使役の場合と、尊敬の場合とで意味が分化する。元来「さす」は「使役」の助動詞だが、普通の人が自力で行なうことを、他者を使役して行なわせる立場にある高貴な人の営みに言及するところから「尊敬」の助動詞にも転じて用いられるようになった。》
〔連接語〕《さす〔助動サ下二型〕使役・尊敬+たまふ〔補動ハ四〕》(1)〈(「さす」が使役の場合)敬意を含む使役を表わす。〉・・・おさせになる。  (2)〈(「さす」が尊敬の場合)(天皇またはそれに準じる相手への)極めて高い尊敬を表わす。(会話手紙の中ではさほど高くない地位の人にも用いる)〉お・・・になる

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〈A〉せさす【為さす】
《サ変動詞「為」に、使役または尊敬の助動詞「さす」を付けたもの。「さす」が使役なら「・・・させる」の意、尊敬の「さす」と解釈すれば天皇皇后などに対する最高敬語「・・・あそばす」の意(必ず「せさせたまふ/せさせおはします/せさせる」などの複合形で用いる)。》
〔連接語〕《す〔他サ変〕+さす〔助動サ下二型〕使役・尊敬》(1)〈(「さす」が使役の助動詞の場合)他者に何かを行なわせる。〉・・・させる。  (2)〈(「さす」が尊敬の助動詞の場合)(「たまふ」・「おはします」・「らる」などを伴って)天皇皇后に対する最高の敬語を表わす。〉・・・あそばす

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〈A〉そ【そ】『接続:{連用形・動詞型活用助動詞連用形・カ変未然形・サ変未然形}
強調の係助詞「」に由来し、副詞「」と呼応した「+動詞連用形+そ」形で(「動詞終止形+」形よりは穏やかな)「禁止」の意を表わす。副詞「」を伴わず単独の「そ」だけで「きつめの禁止」を表わす語法も、平安後期以降には生じた。》
〔終助〕(1)〈(副詞「」と呼応した「+動詞連用形+そ」の形で)相手にやんわり自制を求める穏やか禁止の意を表わす。〉・・・しないでほしい。  (2)〈(平安時代後期以降の用法)(副詞「」と呼応しない「動詞連用形+そ」の形で)「・・・そ」よりもきつめの禁止の意を表わす。〉・・・するな

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〈A〉としごろ【年頃・年比】
《おしなべて古語の時間感覚は現代に比較して厳密性を欠くので、「年頃・年比」と言えば「ここ数年来」の意を表わすのが基本だが、「長年に亘り」の意の場合もあるから油断ならない。「おおよその年齢」の意もあるが、現代語「お年頃」(恋愛・結婚適齢期)の意はない。》
〔名〕(1)〈最近数年間。また、長い期間。〉ここ数年長年。  (2)〈(人の)だいたいの年齢。〉年のころ。

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〈A〉どち【どち】
《「仲間」の意の名詞にも、「・・・な者どうし」の接尾語にもなる。現代風に漢字表記すれば「同士・同志」だが、「どし」の読みは後発で、元来は「どち」。》
〔名〕〈親しい間柄にある者達。〉仲間。 〔接尾〕〈(名詞に付けて)同類の意を表わす。〉・・・同士

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〈A〉な【な】
《上代には「な+動詞連用形」で、それ以降は「な+動詞連用形(カ変・サ変のみ未然形)+」の形で、「・・・はするな」の意を表わす。「動詞終止形+終助詞"な"」(現代日本語の否定表現と同じ形)と比較すると、やや弱い感じの禁止表現である。》
〔副〕(1)〈(中古以降)(「な+動詞の連用形(カ変・サ変のみ未然形)+」の形で)穏やか禁止する意を表わす。〉・・・しないでほしい。  (2)〈(上代)(「な+動詞の連用形」の形で)禁止の意を表わす。〉・・・するな

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〈A〉など【など】
《「何と」の転で、「疑問」(どうして・・・か?)/「反語」(どうして・・・なものか。・・・ないではないか)の意を表わす。文末は連体形で係り結びを形成するが、対応する語句を省略して「など」の中にその意を込める用例も多い。類例を列挙する「」との混同に要注意。》
〔副〕(1)〈(疑問)原因・理由に関する疑問を表わす。(多く、非難の調子を含む)〉何故・・・か?  (2)〈(反語)形は疑問文ながら、否定の意味を表わす。〉どうして・・・なものか

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〈A〉まさる【勝る・優る】【増さる】
《語源的には「増す」に同じ。現代語では「(多く、・・・よりも)優れる」の語義が支配的だが、古語では「(動詞連用形か名詞に続けて)数量・程度が増す」の意を補助動詞的に表わす場合も多い。》
〔自ラ四〕{ら・り・る・る・れ・れ}【勝る・優る】(1)〈(他者との相対比較上)(能力地位などが)である。〉優れる。  【増さる】(2)〈(多く、動詞連用形や名詞に続けて)(数量・程度・回数などが)増す。〉盛んになる。

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〈A〉まだし【未だし】
《形容詞「未だし」から「い」が欠落した語。年齢時期に言及すると「時期尚早」、技能に言及すれば「未熟」の意を表わす。》
〔形シク〕{しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}(1)〈(年齢時期について)まだ適当な時に至っていない意を表わす。〉すぎる。すぎる。  (2)〈(技能完成度について)まだ完全な状態に至っていない意を表わす。〉未熟だ。未完成だ。

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〈A〉ゆかし【ゆかし】
《動詞「行く」の形容詞化。「すぐ近くに行きたい」と思わせるほどに「強く心引かれる魅力がある」という対象の特性に言及する語義と、「見たい・聞きたい・知りたい・読みたい・手に入れたい」など、対象に向けた自分自身願望に力点を置く語義がある。》
〔形シク〕{しから・しく/しかり・し・しき/しかる・しけれ・しかれ}(1)〈(自身の気持ちについて)魅力的な対象に対し、是非とも深い関係を結びたいと願う意を表わす。〉・・・したい。  (2)〈(対象について)自然に心を引き付ける魅力がある意を表わす。〉心引かれる

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