さもや【然もや】〔連接語〕

   [714] さもや【然もや】〔連接語〕

〈B〉 さもや【然もや】
《間に入る係助詞「も」に大した意味はないが、末尾の「や」は疑問・推量を表わし、「そのように・・・だろうか?/ではなかろうか?」の意を表わすのが基本。「さもやあらむ」の略形として「そうかもしれない」の意を表わす使用例も多く、入試でも好んで出題される。》
〔連接語〕 《さ〔副〕+も〔係助〕+や〔係助〕》
  (1) 〈(物事の様態について)疑問・推量の意を表わす。〉 そのように・・・であろうか?/ではないのか?   (2) 〈(「もや有らむ」の略)確たる根拠のない漠然とした推量を表わす。〉 そうではなかろうか。もしかしたらそうかもしれない。
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もやもや漠然推量【さもや】
 入試でも、古文そのものにも、実によく出てくる表現である ― 「さもや」 ― よもや「知らない」とは言うまいねー?ぇ、自信ない?・・・まぁそういうこともあるかもね、ということで備忘録代わりに読んでもらう記事だから、以下軽く解説をば。
 この「さ」は「然」であるから、文脈上明瞭(なはず)の既出の何か(便宜上’A’とする)を指して:
1)「さもや」の後にちゃんと(連体形終止の)疑問・推量の文章を伴って、「A・・・なのだろうか?」とか「A・・・なんじゃなかろうか」とかの意味を表わす。
2)「さもや」で文章をぶった切ってしまいながらも、直後に[あらむ?]という連体形終止の内容を補って読みつつ「A・・・なんじゃなかろうか」との意味を表わす。
 いずれにせよ、「さ(然)」は文脈の中の何かを指し、「や」は疑問・推量の記号として機能するが、間に入る「も」が何とも言えない「もゃもゃ感」を出しているので、「自信なく疑問符が付く感じの推量」の意味になる連語である。
-かなり便利な「さもありなん」-
 この漠然としてもにゃもにゃした感じの「さもやあらむ」は、似たような形ながら「断定的に納得」する正反対の意味を持つ「然もありなむ」なる連語と対にして把握すると良いだろう。この表現、現代日本語に於いても、「あの人、やっぱり落第したんだってさー」・「はは、さもありなん、って感じだよねー、勉強してるとこ見たことなかったもん」みたいな感じで生きているので、「然もやあらむ」の理解を明確にするための名脇役としても使える上に、次のような形で連語&終助詞「なむ」の意味の再確認にも使えるのだから、大した役者である:
終助詞「なむ」の例)然も<あら>なむ。(そうであってほしいものだ)
 ・・・未然形接続(あら)+なむ=他者に対する願望を表わす終助詞。
連語「なむ」の例)然も<あり>なむ。(あぁ、そりゃそうだろうねぇ)
 ・・・連用形接続(あり)+確述助動詞(な)+推量助動詞(む)=確実にそうであろうとの推量を表わす連語
 ・・・この連語と同じ意味は、「あり」+「てむ」/「ぬべし」/「つべし」でも表わせる。いずれも「確述助動詞+推量助動詞」の組み合わせである点を踏まえれば、こうした類例での換言可能性の検討作業が「言語学的検算」になる、という理屈も覚えておくべきであろう。

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コメント (1件)

  1. the teacher
    ・・・当講座に「man-to-man指導」はありませんが、「コメント欄」を通しての質疑応答ができます(サンプル版ではコメントは無効です)

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