【仰す】の敬語化は鎌倉以降

   [144] 【仰す】の敬語化は鎌倉以降
「古文単語千五百Mastering Weapon」 No.812【仰す】
 古語の時代背景まで一々覚えねばならぬのか、と思うと受験生としては気分が重いであろうが、いかにも尊敬語っぽい「仰す」なる古語が、それ1語で尊敬語として用いられるようになったのは鎌倉時代以降であって、それ以前(中古まで)は「仰せ+らる」/「仰せ+給ふ」という「尊敬の助動詞・補助動詞」との組み合わせで初めて「おっしゃる」の意味になったという事実は(落第を望まぬなら)覚えておく必要がある。
 この語は元来「負ふ」の他動詞「負ほす」の転じたものだから、現代語風に言えば「負わす=負担として背負わせる」であり、目上から目下に向けて「命じる」という強圧的響きを持っていた。それが「らる/たまふ」を加えた「仰せらる/仰せ給ふ」となることで「お命じになる」から「おっしゃる」の意へと転じ、やがて「らる/たまふ」抜きの「仰す」だけでも「おっしゃる」の尊敬語として通じるようになったわけである。

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コメント (1件)

  1. the teacher
    ・・・当講座に「man-to-man指導」はありませんが、「コメント欄」を通しての質疑応答ができます(サンプル版ではコメントは無効です)

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