かたねは するおもひも せんなくて こひやくちなむ ちりもえもせて ♪
  かたねば  するひも  詮無くて  恋やちなむ  散りももせで
    Thoughts burning inside
    Fostered unshared alone in vain
    Love unknown ungained may wane
    Without words, no worthy rewards
     ・・・人の思いは伝え合ってナンボ、言わぬ想いは思わぬに似たり。
     言葉がなけりゃ、恋も人生も始まらない。
     言わぬまま、得られもせぬまま、風化して、思い出の中でだけれていたい?
     そんな生き方、したくないなら(恋に、人生に)踏み出す前に、言葉に磨きをかけるべし:
受験生・歌よみ必携『古文単語千五百MasteringWeapon』


内容紹介

■〈収録語数・範囲とその選別基準〉♪
 本書には、日本の大学入試古文問題の主要な対象となる平安時代の文物の読解に大いに役立つ古語・連語類を、全部で1500語収録してある。
本書収録の1500の古語は、以下の三段階を経て厳選されている:
 (1)大学入試に際し受験生が古語語彙構築の源典とすると思われる市販の古文単語集の収録語を網羅的に調査し、任意の古語が収録されている市販古文単語集の多寡を基準にして(市販単語集の全部に収録されている語は重要度高し/一冊に載ってるだけなら重要度低し、という具合に)、重要古語の等級(〈A〉・〈B〉・〈C〉)を(暫定的に)割り出した。
 (2)高校生を対象とする学習古語中辞典(複数冊)の収録語を一語残らず全て吟味し、当該辞書の編者が重要語として特筆する語句と、特筆されていなくとも各種の観点から重要語扱いが妥当と思われる古語を拾い出し、前述の市販単語集収録頻度から暫定的に割り出した古語重要度等級(〈A〉・〈B〉・〈C〉)の更なる洗練を図った。
 (3)過去の大学入試で出題された古文問題(延べ1300年度分以上)の原文を筆者自身が実際に(機械任せの“全自動コンピュータ分析”ではなく)読み解き、平安時代の文物に頻出する古語・入試古文問題で狙われ易い古語の水準を入念に(大学入試古文問題出題者の視点で)再検討し、件の重要古語等級(〈A〉・〈B〉・〈C〉)を、最終的に1500語へと確定した。
 ・・・かくて、本書の採用する古語重要度等級〈A〉・〈B〉・〈C〉が誕生した:
〈A〉どんな市販古文単語集でも外すわけに行かぬ“有無を言わさぬ最重要古語”
=単語400/連語類50
 ・・・古文初学者(+入試直前でなお古語未習得の受験生)は、まずこれだけは覚えるべし
〈B〉収録語数の制約がなければ“古文指導者として単語集に入れたい中堅語”
=単語450/連語類50
 ・・・古典文法も基礎的語彙も習得した後(+難関入試に挑む者)は、これをも覚えるべし
〈C〉入試云々よりむしろ“古典常識・古文書解読力の向上に役立つ最上級古語”
=単語500/連語類50
 ・・・古文入試力の死角をなくしたい・古文の塾講師や家庭教師として恥ずかしくない実力を身に付けたい・優雅なる文芸としての古文・和歌の嗜みが欲しい、なら、ここまで覚えるべし

■〈収録語の配置順〉♪
 本書では、1500に上る膨大な古語群を理知的・効率的・感覚的に理解・暗記し易くするための工夫として、語源・語形・意味等の面から関連の深い古語を並べて一堂に記す“意味集団別配置”(五十音順or“試験に出る順”に非ず)を採用した。
 全収録語1500語を、同類古語群として126種の意味集団に分け、各意味集団の始まりには“●当該意味集団の簡単な紹介文”を付けた。
 各意味集団内に於ける語句の配列もまた、五十音順であるとか(上述の)古語重要度等級(〈A〉・〈B〉・〈C〉)順だとかの安易な機械的配置にはせず、同一意味集団内の他の語句との関連性が理解し易く暗記に好適な合理的配列を心掛けた。

■〈収録語に関する情報〉♪
 全1500語の収録語には、以下の情報を記してある:
(1)―収録語番号―〈古語重要度等級A・B・C〉かな読み【漢字読み】
   ・・・各古語見出語の冒頭部には以下の情報を記載した:
  *全1500語中の何番目にあたる収録語か?
  *重要度は〈A〉最重要・〈B〉中堅・〈C〉最上級のどの等級か?
  *「ひらがな」に加えて、どんな【漢字】で表記される場合があり得るか?
(2)〔品詞〕
 見出語の〔品詞〕は、同一品詞に属する最初の語義の〈語義解説〉直前に略号で記した。略号の形態は、大方の辞書・単語集のそれに倣い、例えば「他動詞でタ行下二段活用する語」=〔他タ下二〕/「助動詞でラ行変格活用に属する語」=〔助動ラ変型〕/「形容詞のク活用」=〔形ク〕/「形容動詞ナリ活用」=〔形動ナリ〕/「接続詞」=〔接続〕/「接続助詞」=〔接助〕/「接尾語」=〔接尾〕のように記した。
 〔連語〕の場合、それを構成する成文までも、同一連語に属する最初の語義の〈語義解説〉直前に記した。なお、連語の中でも構成成分相互の関連性が強く、“単語”や“一品詞”に近い扱いで一まとめにして覚えるべきであると筆者が判断した語は、特に〔連接語〕と記して、単なる〔連語〕とは区別した。
(3)《語源考察》
 各見出語の個別的語義の解説に先立って、当該見出語にまつわる語源・歴史・文化的背景事情を簡潔に記して、その全体的な語感が思い浮かぶようにした。
(4)〈語義解説〉
 各古語の語義は、“その古語を現代日本語に訳したらどうなるか”をダラダラ羅列する形で漫然と示すのではなく、〈その古語の表わす意味を論理的に定義するとどうなるか〉を、当該見出語の各語義ごとに細かく分析する形で記載した。(・・・英英辞典―anEnglish-to-Englishdictionary―や百科辞典のみっちりと濃密な解説文のイメージである)
(5)厳選訳語
 各古語の訳語は、当該見出語の各語義の〈語義解説〉直後にその古語の意味を現代日本語で忠実に伝えるのに最も妥当と思われる一語のみを厳選し記した(これは、受験生の暗記の労苦を最低限に絞り込むための割り切りである)。但し、〈語義解説〉中に複数の論理的定義が並立する場合は、各論理的定義一つごとに一語ずつ複数の訳語を配した。

※語義の収録範囲(割愛対象)について
 大学入試で問題となる古語の語義が実質的に中古(≒平安時代)に限定される現実に鑑み、この時代を大きく外れ、語義も現代語からの類推で片が付くことの多い後代の語(近世語)は(《語源考察》で言及されている場合等を例外として)全て割愛した。但し、近世語でも、それが文芸語として重要であるとか、その他の観点から覚えておくべき重要語であると判断される場合は、特例として記載した。
 近世以前の語義については、本書には一切割愛せずに記載してある。中世(大まかに言えば鎌倉~室町時代)の語義や上代(≒奈良時代)の語義も(時代背景の注記を添えて)残らず記してある。即ち、本書は“中古日本の古語オールスター列伝”として「辞書的に」使用可能な古文単語集、ということになる。

※漢字表記と振り仮名(ルビ)について
 本書では、漢字表記が妥当な箇所では妥協なく漢字書きを貫いた。漢字の表意性(見た目から意味が浮かび易い便利な図柄としての特性)を、漢字排除の仮名書き和語が偉そうに罷り通る現代日本にあって漢字をロクに知らぬ読者連に再認識させる意を込めて、である。低きに流れる時代の潮流に抗う一表現者の意思表示の一環として、表現・用語ともなるべく格調高いもの(現代の日常会話にはあまり登場せぬもの)を意識的に多用した・・・ので、識字能力の高くない読者のために、難読語や誤読可能性の高い漢字には、重複を厭わず振り仮名(ルビ)を賑やかなまでに割り振った。(横書きなのは電子媒体上の都合で、他意はない)
(・・・WEB電子版では、筆者地声の読み上げ音声を、文字の上でのルビの代用としている・・・あしからず)

■〈巻末索引〉♪
 本書の巻末に用意した索引には、1500の収録語全てを、古語重要度等級〈A〉(450語)/〈B〉(500語)/〈C〉(550語)の三集団に分割した上で、各等級別に、その重要度集団に属する古語を五十音順(本編と異なり、意味集団別ではない)にまとめて配置してある。(総数46ページ!・・・ただの索引とは訳が違う)
 この索引には、各見出語の本書内に於ける―収録語番号―を付記してある:のみならず、見出語の“ひらがな読み【漢字読み】〔品詞〕厳選訳語”まで残らず記載してある。即ち、本書巻末の索引はそれだけで一種の“〈A〉〈B〉〈C〉重要度別1500語古文単語集(あいうえお順インデックス)”を形成している、ということである。
 本編で語源や各語義の論理的解説を消化吸収した後で巻末索引を使って語義の理解度を確認するもよし、巻末索引にある一語の訳語から各古語の〈語義解説〉を逆に思い浮かべる訓練を通して自らの論理的言語能力を錬磨するもよし、古文の授業や独習の際に参照して文章中に登場する古語の意味の確認に用いてもよし、試験日までの切迫した時間の中で最小限の語彙を手っ取り早く身に付けるために巻末索引の見出語+訳語のみ(かつ、〈A〉のみとか、〈C〉は排除とか)を丸暗記する等の駆込寺的な活用もまたよし・・・使い道は様々、すべて読者の工夫次第である。
(・・・WEB電子版での余録は、紙本版のそれを更に圧倒する:「A/B/C水準別配列」は「意味集団別配列」と同等機能のフル・ヴァージョンで提供し、その上さらにまた「語義総数別配列」のフル・ヴァージョン単語集まで添えている・・・つまり「最初はまず、A水準だけ覚える→時間的余裕があればB、さらにはC水準語に手を伸ばす」という使い方もできるし、「1つの見出語に1つの語義しかないラクな古語から最初に覚え、徐々に多義語へ手を伸ばす」という段階的学習も思いのまま、という次第である)
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 単語に“例文”が付属せぬことに不満な読者は、千五百もの単語群の“例文集”がいかに分厚くなるか想像してみてほしい:多くの単語集の収録語数が四~五百語止まりであることの“商業的(≒非学術的)”理由がわかる筈である・・・それでも妥協を許さぬ読者は、同様に妥協怯懦を嫌う作者の手によって「千五百全見出語」に加え「助動詞37全用例+助詞77全用例+古典文法全重要語法」までふんだんに織り込まれた平安調擬古文歌物語集22編『ふさうがたり(FusauTales)扶桑語り』(CW00)を(繰り返し!)読むことで、語学的卓越と共に文芸的愉悦をも味わわれるが宜しかろう・・・が、大方の受験生にとっては、本書+『古文・和歌MasteringWeapon』(MW01)の併用学習のみで十分:両書で力を付けて後に挑む入試古文の過去問は、正しいやり方で戦って得る勝利の美味を、諸君に堪能させてくれることであろう。
・・・能書きはこのへんでよろしかろう。以下、
実りある活用&輝ける成果を、期待する。
2011(平成二十三)年 夏
作者 之人冗悟(のと・じゃうご:NotoJaugo)




















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