あからさま【あからさま】〔形動ナリ〕

   [10] あからさま【あからさま】〔形動ナリ〕

〈A〉 あからさま【あからさま】
《本来の居場所から一時的に離れる「離る」に由来し、上代には「突如として元の状態を離れる→いきなり変化する」の意で用いたが、中古以降は「かりそめに」が中核的語義となる。現代に残る「明白」の意は、「離ら様」と「明から様」の混同により近世以降生じたもの。》
〔形動ナリ〕 {なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ}
  (1) 〈永続的・恒久的なものでないさま。〉 一時的だ。かりそめだ。しばしの間だ。ちょっとの間だけだ。   (2) 〈(「あからさまにも」の形で、下に打消の語を伴い)否定の意味を強調する。〉 全然・・・ない。全く・・・ない。これっぽっちも・・・ない。ちっとも・・・ない。・・・だなんてとんでもない。   
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昔の【あからさま】は「露骨」じゃなくって「ちょびっと」
 現代では「露骨、見え見え、おおっぴら」の意味で使う「あからさま」だが、これは「あから」の音を「明ら」に結び付けて「明ら様=明るいさま=明瞭」と捉えた近世以降の錯覚語義で、古語とは無縁の代物
 古語の「あからさま」の根底にある「あから」は「あかる=離る」であって、本来存在する定位置から「一時的に離れるさま」であるから、「ほんの少し」が古典時代の「あからさま」の語義である。実際には「あからさまにも・・・ず」として「ほんのかりそめにも・・・しない」という強調的否定表現(英語で言えば「not a bit …」)を形成することが多い。
 本来の場所から一時的に離れるというその語感から言えば、「あからさま」は「あくがる」にも近い。「あくがる」の「かる」は「離る」であるから「あかる」と同じであるし、「あく」は「幄=小屋・・・いつも身を置く居住区画」であるから、「おうちからふらふら外にさまよい出る」の意味で「ふらつき歩く」になったり、「いつものお相手(の男・女)以外へと気持ちがヨロメく」なる艶っぽい浮気語になったりする。

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コメント (1件)

  1. the teacher
    ・・・当講座に「man-to-man指導」はありませんが、「コメント欄」を通しての質疑応答ができます(サンプル版ではコメントは無効です)

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