あいなし【あいなし】〔形ク〕

   [2] あいなし【あいなし】〔形ク〕

〈A〉 あいなし【あいなし】
《「文無し」=論理的正当性がない/「愛・合ひ無し」=(主観的に)興味・関心を引かれない、の二つの語源説があり、語義もまた「不合理」と「不愉快」の二系統に大別できる。》
〔形ク〕 {から・く/かり・し・き/かる・けれ・かれ}
  (1) 〈(主観的に)興味・関心を引かれない。〉 気に入らない。気に食わない。好きになれない。面白くない。興味がない。つまらない。意に沿わない。   (2) 〈(理に照らして)間違っている。〉 不当だ。理不尽だ。無茶だ。よろしくない。筋違いだ。お門違いだ。   (3) 〈(連用形「あいなく」やウ音便「あいなう」の形で、副詞的に)程度がはなはだしいさまを表わす。〉 無闇に。やたらと。ひどく。わけもなく。法外に。やけに。べらぼうに。
presented by http://fusau.com/
【あいなう】?You know, 「あや」無う、「愛」=NO, 例のあいのこ和語
 いかにも日本語らしいまぜこぜ語義を持つ「あいなし」は、「あや=文=論理的に割り切れる特性」が「無し」と見れば「間違いだ、不当だ、それはよくない」となり、「あひ=愛・合ひ=心情的に対象に吸い寄せられてピタリ張り付く感覚」があるかと問われて「NO!」と言いたい感じなら「気に入らない、自分の感性には合わない、まるでイケてない」の意味となる。
 極めて理知的・論理的な「文無し」と、純粋に主観的な感情語としての「愛無し・合無し」という、水と油みたいな語義が平然と共存しているあたりが、東洋・西洋・漢字・横文字・古代・現代・仏式・神前式、なにもかもチャンポン取り混ぜ渾然一体の形で取り澄まして存在している不思議の国ニッポンの(外人の目で見た)無秩序特性に「ぴたり合致」していて「論理もへったくれもない」感じだが、もひとつオマケにこの語の場合、連用形「あいなく」の形(というより多くはそのウ音便「あいなう」の形)でやたらめったら文中で乱用される「とにかくもう・・・なんですから」の強調的副詞表現としての出番が非常に多い。
 現代日本語の「超~~!」の感じと言うべきか、もう少し学術的に「いたう(甚う)」や「のみ」にも類する「ただの強調的言辞であるから、無理矢理訳そうと思わぬほうがいい場合も多い」としておくべきか、この「あいのう」、とにかく古文によく出てくるから、早晩諸君も「I know…例の無節操なやつね」ということになるであろう。

———-

コメント (1件)

  1. the teacher
    ・・・当講座に「man-to-man指導」はありませんが、「コメント欄」を通しての質疑応答ができます(サンプル版ではコメントは無効です)

コメントは受け付けていません。